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坂井 基浩のホームページ!

桂 幹人/儲かるも儲からんもアンタ次第!01

第1回「ヒントは『社長室』にはない、『現場』に落ちている!」
日経ベンチャー2003年10月号

私は年間約1400人の経営者にお会いして、相談を受けている。
そのほとんどは業績不振に悩んでいる経営者の方々だ。
「負け組」企業の経営者には共通点があって、業績が悪いのを
人のせいにする。景気が悪い、社員が悪い、政治が悪い……。
責任転嫁して現実と向き合おうとしない。

残念ながら、そう思っている内は、どうしようもない。
「業績不振の責任はトップにある。儲からんのは社長のせいだ!」
ということを自覚することが再建の大前提、最初の一歩だ。

その上でどうすればいいかを、この連載ではお伝えしたい。

不振企業の具体的な問題点は何かというと、「お客が買いたいものを、
買いたい値段で、買いたい時に、買いたい方法で売る」という商売の
基本と、必ずズレていることだ。

その理由は「内部管理スパイラル」に陥るからだと、私は考えている。

従業員を雇って、「さあ、売ってこい」と尻を叩くことが経営者の
仕事だと勘達いして、管理・監督ばかりに気を取られる。その一方で、
「お客さんは今、何が欲しいのか」という一番大切なことへの関心が
薄れている。

中小の社長は前線の「軍曹」

最近も、「営巣部員との情報共有を進めたいのだが、どんな仕組みが
必要か」という相談を受けた。聞けば営業部員は4人しかいないと
いう。冗談じゃない!顧客のことを知りたければ毎朝、部員に聞いて
回れば済むはずだ。ダメな経営者は、こうした“会社ごっこ”に夢中に
なっていることが多い。

売り上げが50億円くらいまでの会社の社長は、軍隊で言えば、前線で
戦う軍曹くらいの気持ちじゃないとダメだ。もし、軍曹が塹壕にこもって
作戦ばかり考えていたら、そんな部隊は全滅する。それと同じこと。

「顧客支援業」に生まれ変われ

では、どうすればお客が欲しいものを提供できるのか。それには
「顧客支援業」という視点に立つことだ。

例えば、私が指導したある印刷会社では、住宅需要の落ち込みに悩んで
いるエ務店のために、集客の仕組みを作った。それは「建築家と建てる家」
をテーマに、建築家の作品展形式のイペントを開催するというもの。
集客はチラシの配布で行う。ある時などは、20万枚のチラシをまいて
200組が来場するほど反響があった。

このスキームのポイントは「建築家」で、印刷会社が優秀な建築家を
集めて「イベント込みのチラシ」をエ務店に 提案することだ。
工務店側ほ、デザイン住宅で他社と差別化できる。印刷会社は、チラシ
印刷を安定的に受注できるというわけだ。

実際、この印刷会社はこうした仕組みで、11社の工務店を新規顧客と
して獲得し、売り上げを2倍に伸ばした。私はこのスキーム10社以上の
印刷会社を再建したが、取引先を支援するという発想ほ、他の業界でも
同じことだ。

どうすれば顧客を支援できるか?その切り口を見つけるには、当たり前
だがお客を回ることが大切だ。と言っても、客先の応接室でお茶を飲んで
世間話をしていては意味が無い。現場を見せてもらって、彼らが何に
困っているのか、どうすれば役に立てるかを、じっくり考える。ヒントは
現場にいくらでも落ちているはずだ。

あるダイカスト加工業者向けの金型メーカーは、私のアドバイスで、
「24時間営業」を始めた。ダイカスト加エのメーカーにしてみれば、
鋳型が突然割れたら、ラインが止まりかねない。復旧は一刻を事う。
24時間営業なら、そんな不安を潜在的に抱えるお客さんに、安心を提供
できる。

この金型メーカーは、3社の新規顧客を獲得。売り上げは20%も伸びた。
やったことは、200通のDMを出して、従業員のシフトを一部見直し、
夜間の受注専用の携帯電話を購入したことくらいだ。

この金型メーカーのように、お客が困っていることを助けてあげようとす
るだけで、売り上げは簡単に10~20%は増加するはずだ。

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【酒屋さんの飲食店支援】
この欄では私が、様々な業種の再 建を引き受ける中で考え抜いたニュー
ビジネスと、その事業プランを紹介したい。
今回紹介するアイデアは、お酒のディスカウントストアが対象。名付けて
「飲食店支援プラン」だ。酒販店は、酒販売の規制緩和で競争は激化して
いるから、価格以外に訴求力を持つ必要に迫られている。
そこで、中小零細の飲食店経営者向けに、「イベント企画」を代行する
というのはどうだろうか。
「北海道の珍味フェア」とか、毎月新鮮なイベントを考案する。
そのために必要なPOPなどのツールも揃える。また、顧客にイベント
開催を告知するDMの発送も請け負うというものだ。
飲食店は1~2人で店を回すことも多く、こうした面倒な作業をすべて
実費で請け負う酒屋は重宝がられるはずだ。あなたが飲食店経営者なら、
そんな便利な酒屋に発注しませんか?

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【「できる社長」と「できない社長」はここが違う】
で 1.営業は陣頭指揮、トップセールスを率先垂範

る 2.顧客を訪ねる時は必ず現場を見ている

長 3.顧客を支援する方法を常に探す
             ↑ ↑ ↑ ↑
             ↓ ↓ ↓ ↓
で 1.営業はやらない、顧客はほとんど回らない

な 2.自社の製品・サービスを顧客がどう使っているか知らない

社 3.まず自社商品ありき、顧客を助けるという視点がない


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日経ベンチャー2003年10月号より


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